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家で練習してこない生徒に、何をどう頼むか

叱るか褒めるかで迷う前に、決めておいたほうがいいことがあります。集中の続かない子と、進度がばらばらのクラスへの手当ても合わせて書きました。

公開 2026年7月27日最終更新 2026年7月27日著者 HATOP編集部

check_circleこの記事の結論

練習してこない生徒の多くは、やる気がないというより、家で何をするのかが決まっていません。宿題の量を変えるより先に、いつ、どこで、何分、どこまでやるかを一緒に決めたほうが早く動きます。叱るかどうかを考えるのは、そのあとで間に合います。

この記事に書いてあること

  1. 01練習してこない生徒は、やる気がないのですか?
  2. 02家での練習は、どう決めれば続きますか?
  3. 03叱るのと褒めるのは、どちらがいいのですか?
  4. 04集中が続かない子や、レベル差の大きいクラスは、どう進めますか?
  5. 05楽しく学ぶことと、上達は両立しますか?
  6. 06よくある質問

練習してこない生徒は、やる気がないのですか?

やる気という言葉でまとめてしまうと、手の打ちようがなくなります。決まっていないのか、難しすぎるのか、何のためか分かっていないのか。どれなのかで、打つ手が変わります。

「やる気がない」は、原因の名前ではありません。中身を見ないまま声のかけ方だけ変えても、次の週もまた同じことが起こります。

中身本人に出るサイン手当て
決まっていない「忘れてた」と言う。やる日が毎週ばらばらいつ、どこで、何分やるかを決める。量は減らさなくていい
難しすぎる最初の1行で止まっている。ノートが白いまま課題を1段階下げる。教室で最初の1回を一緒にやってから帰す
何のためか分からないやってはいるが雑になる。「これ何のため?」と聞いてくるこの練習がどこにつながるかを、次の目標と結び付けて一言で伝える

聞き方は、「なんでやってこないの」ではうまくいきません。「家でやろうとしたとき、どこで止まった?」と聞くと、たいてい3つのどれかが返ってきます。

家での練習は、どう決めれば続きますか?

続いている生徒は、いつ、どこで、何分、どこまでやるかが決まっています。1回3分から始めて、量ではなく回数を数えるほうが定着します。

  1. 1

    いつ

    曜日と時刻を決めるより、家の生活の順番にくっつけるほうが守られます。夕ごはんの前、歯みがきのあと、といった決め方です。

  2. 2

    どこで

    場所を1つに決めます。ツールを出す手間が1つ減るだけで、回数がはっきり変わります。

  3. 3

    何分

    1回3分から始めます。長い時間を決めると、取りかかるまでが重くなります。

  4. 4

    どこまで

    「練習する」ではなく、終わりの見える形にします。4小節を3回、10問だけ、といった書き方です。

edit_note生徒に渡す練習カードの例

いつ:夕ごはんの前

どこで:リビングの机

何分:3分

どこまで:8ページの3問だけ

できた日は、ここに丸をつけてください。

丸の数は、次のレッスンの最初に一緒に数えます。数えてもらえると分かるだけで、回数は増えます。

保護者に頼むのは、声かけではありません

「練習するように言ってください」と頼むと、家では催促になります。催促は親子げんかになり、そのうち教室のせいにされます。お願いするのは1つだけにしておくほうがいいです。3分ぶんの時間と場所を空けてもらうこと、それだけです。

練習量は減らしてもいいのか

減らしてかまいません。週に1回30分より、週に5回3分のほうが定着します。回数が戻ってきてから、量を戻していけば大丈夫です。

叱るのと褒めるのは、どちらがいいのですか?

どちらでもなく、見えたことをそのまま言うのが基本です。叱る場面は、危ないことをしたときと、人を傷つけたときの2つに決めておくと迷いません。

褒めても伸びない、叱っても伸びない。どちらの相談も、言葉が評価になっている点では同じです。評価ではなく、見えたことを言葉にしてみてください。

場面避けたい言い方言い換え
できたときすごいね、天才だね3回目から、指が止まらずに動いたね
できないときちゃんとやりなさいここで手が止まるね。ひとつ前に戻してみようか
やってこないときまた練習してないの今週は何回できた?0回なら、時間を決め直そう

叱る場面を、先に2つに絞っておく

危ないことをしたときと、人を傷つけたときだけ。この線を先に引いておくと、上達しないことに腹を立てて叱ってしまう回数が減ります。

集中が続かない子や、レベル差の大きいクラスは、どう進めますか?

集中が切れるのは、45分をひと続きにしているからです。中身を割って、体の動きが変わる場面を挟むと持ちます。レベル差のほうは、課題を1つにしてゴールだけ3段階に分けると、一人でも回せます。

集中が続かないとき

45分を通して集中させようとするから続きません。中身を3つに割って、体の動きが変わる場面を挟むと持ちます。

時間中身ねらい
最初の10分毎回まったく同じことをする始まりの合図になる。考えずに入れる
まん中の20分その日の新しいこといちばん集中の要る内容をここに置く
最後の15分できることを通してやる、または遊びの要素を入れるできた状態で終われる

レベル差が大きいとき

生徒ごとに別の課題を出すと、先生が3人分に分かれてしまいます。課題は1つにして、分けるのはゴールのほうです。

  • 共通の課題を出します。この4小節、この10問、というように全員同じにします。
  • ゴールを3つ書いておきます。ゆっくり最後まで、間違えずに最後まで、速さをつけて最後まで、といった並びです。
  • 早く終わった生徒には、下の段の生徒を見てもらいます。教えることが、その子の練習にもなります。

進度がばらけてきたときに、どこを直すか

遅れている生徒に合わせると全体が止まり、速い生徒に合わせると脱落が出ます。真ん中を取るより、共通の課題そのものを易しくして、上の段のゴールを高くするほうが崩れません。

楽しく学ぶことと、上達は両立しますか?

両立は順番で作れます。できるようになったことが本人に見えている状態が、そのまま「楽しい」の中身になります。

楽しくやらせたい家庭と、結果を出してほしい家庭が同じクラスにいると、方針が揺れます。揺れると、どちらの家庭からも不満が出ます。先に決めて、入会のときに渡しておくほうが穏やかに済みます。

edit_note教室の方針を3行で書く例

この教室は、続けられることをいちばん大事にします。

コンクールや検定は、出たい人だけが出ます。出ない生徒が不利になることはありません。

半年に1回、いまできることを記録して、本人と保護者にお渡しします。

効くのは3行目です。上達は、日々のレッスンの中では本人に見えません。半年前の記録と並べて、はじめて見えます。そこで、楽しさと上達がつながります。

記録に残すもの

  • できるようになったことを1行
  • いま練習していることを1行
  • 次の半年でできそうなことを1行
  • 音や動きが残せるものなら、短い動画を1つ

よくある質問

Q.練習してこない生徒に、宿題を減らしてもいいですか?
A.減らしてかまいません。量より先に、回数が続くことのほうが大事です。週5回3分まで落として、回数が戻ってきてから量を戻してください。
Q.発表会やコンクールに出たくない生徒には、どうすればいいですか?
A.出るかどうかを選べるようにして、出ない生徒が不利にならないことを先に伝えておいてください。人前で演奏したり演武したりする経験は、教室の中で少人数を相手にしても作れます。
Q.レベル差のあるグループレッスンを、一人で回せますか?
A.課題を1つにして、ゴールを3段階に分ければ回せます。生徒ごとに違う課題を出すと、先生が分裂して、結果的に全員の待ち時間が増えます。
Q.「うちの子はやる気がない」と保護者に言われたら、どう答えますか?
A.やる気の話にせず、家でやることが決まっているかを一緒に確かめてください。いつ、どこで、何分、どこまでの4つのうち、欠けているものを埋める提案にすると、家庭のほうも動きやすくなります。

この記事を書いた人

HATOP編集部

月謝制の個人教室のための予定表サービス「HATOP」運営

空手道場、ピアノ教室、スイミング、学習塾など、先生が一人で切り盛りしている教室のための予定表サービスを作っています。ここに書いているのは、その設計のなかで整理してきた教室運営の型です。

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